金沢市小学生陸上教室と東京オリンピック

2020東京オリンピックの選手の活躍に胸おどる毎日かと思います。皆さんは,どんな競技や誰の活躍に心を打たれましたか?

タイトルは「金沢市小学生陸上教室と東京オリンピック」にしましたが,どんな関係なのでしょうか?

 

金沢市小学生陸上教室が設立されて10年目の2001年に,陸上競技で優秀な成績をあげた金沢市内の小中学生に「大島鎌吉賞」という賞を授与することになりました。そして,同時に金沢市小中学校記録会を行うことになり,今に至っています。

 金沢市出身大島鎌吉さんは1932年のロサンゼルスオリンピックの三段跳び選手で,選手村での大火傷にもめげないで見事に銅メダルを獲得しました。石川県初のメダリストです。

 そして,1964年の東京オリンピックの開催に大きな力をそそぎ,強化本部長と選手団長をつとめました。さらに,スポーツ少年団をも創設し,日本の青少年のスポーツ振興に大きな活躍をされました。

 また,〈科学的トレーニング〉を日本にいちはやく取り入れた人でもあります。

 そのことについては,野村が書いた文を読んでください。→ここ

 そういうわけで,金沢市陸上教室は「金沢市出身の陸上選手大島鎌吉さん」を通じてオリンピックと関連があるということです。

 

 大島鎌吉さんは誰よりもオリンピックの精神を理解していて,「オリンピックを日本の子どもたちに見せたい」という一心で,一時は宙に浮いた1964東京オリンピックの開催に力を注ぎました。1964東京オリンピックで,日本の青少年はスポーツを通して心身をきたえること,世界平和のためにスポーツがあることを学びました。

 大島鎌吉さんは過去の人ですし,その存在を知る人も少ないです。

 しかし,大島さんの伝えたいことは今回の2020東京オリンピックの中にもみることができます。

 ・南スーダンの陸上選手と前橋市民との交流

  ・女子スケートボード選手の国を超えた交流

  ・男子走高跳の2つの金メダルなど,私も全部の競技やニュースを見ているわけではないで他にもあると思いますが,国を超えてお互いに尊敬し合い,技術を高め合うという姿はまさにオリンピック精神の実現です。

 現在のアスリートには国際感覚,人権感覚にすぐれた人が本当に多いなあと感心しています。

 本来ならそういう交流しあう姿があちこちで見られるはずですが,このコロナ禍で本当に残念です。

 

 この2年間,学校で「オリンピック・パラリンピック関連の授業」があったことと思います。せっかくの日本での開催ですから,「勝った」「負けた」という次元の話ではなく,学校での学び,大島鎌吉さんからの学びを生かせるような2020東京オリンピックであってほしいと思います。

 

 〈陸上競技〉に興味ある子も多いことと思います。「将来は陸上競技選手としてオリンピックに出たいなあ」と思っている子もいるかもしれません。

 卓球や体操,水泳,スケートボードなどは幼少の頃から長時間練習している選手ばかりですね。

 それに比べて,陸上競技選手で小学校の時から頑張って練習しているという選手はまったくといっていいほどいません。

 全国小学生陸上競技大会は今年で37回を迎えましたが,数多くの小学校チャンピオンでオリンピック選手になったのは走幅跳の池田久美子さんたった一人だけです。また,中学チャンピオンとなってオリンピック選手として活躍している人もごくわずかです。

 いわゆる「つぶれる」ということです。

 競技の特性,身体の発育発達段階とトレーニング,競技会のあり方,これが日本陸連(陸上界)の悩みです。

  小学校・中学校・高校の世界陸上競技大会をしたら,圧倒的に日本が優勝するでしょうにね。

 

 小学校時代は,鬼ごっこなどをするのが一番かと私は思います。

 でも,現実はそういう状況にないから,スポーツクラブ・スポーツ少年団が存在しています。

 

2021年8月6日記

監督:野村泰裕